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内容説明
現代のシカ問題の全体像がこれ1冊でわかる!
長年、シカと環境の関係を研究しつづけた第一人者によるシカ問題の入門書。
現在、増え過ぎたシカによるさまざま被害が各地で報告されている。
美しく貴重な高山植物は食べ尽くされ、植物を餌にする虫もいなくなり、森は後継樹が育たず、このままでは存続が危うい。
シカ問題はただシカの数を減らせばよいというものではなく、農林業の衰退、里山や奥山の変化と密接に関わる社会問題であり山問題である。
農林業被害から生態系の破壊まで、ますます深刻化するシカ問題。
シカ肉利用やシカ猟なども含め、シカ問題に関するニュースが毎日のように報道されている。2015年5月には「保護」から「管理」にシフトした改正鳥獣保護法も施行された。
本書では、広くシカ問題に関心のある人に向けて、シカ問題の背景・現状・影響・対策・今後を解説します。
序章 シカが増えた森を訪ねる
1章 シカ問題はどういう問題か
2章 シカ食害の現状と影響
3章 シカという生き物
4章 シカ増加の歴史、背景、原因
5章 問題解決の努力
6章 生態学的、総合的な視点でみる
7章 シカと共存する未来に向けて
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
アナクマ
48
日本のシカ問題を概観できる良書。被害、生態、社会的背景に触れ、問題の原因を多角的に語る。議論が拡散しがちな増加要因については、日本の社会構造にあるとする。妥当かどうかは193ページで各自判断。◉目ウロコだったのは「日本の生態学は導入時から野生動物について無知であった」というところ。たしかに。だって、オオカミもシカもほとんど居なかったから。長らく前景化されてこなかったことがいま、暴発している。◉適切な頭数を定めることにすら原理的な困難を伴うが、今はともかく獲るしかない。これも資源の一種、山の恵みとみなそう。2018/07/24
ちぃ
26
まず「シカ問題」と言った時、それは人間にとっての問題ということ。貴重な植物が鹿によって減ってるとか農作物被害とか、それも人間目線で何が大事か決めているだけ。また人間も生態系の一部であり、都市型生活の主流化がこの問題を作り出しているということ。人間の都合で適切な頭数を決めるというのはナンセンスだし、コントロールできるものでもない。人はずっと自然を恐れつつ依存して生きてきた。近代以降は減れば保護するし増えれば悩むの繰り返し。右肩上がりの消費社会を求めることの限界。このままじゃダメだと強く思う。読んでよかった。2021/08/14
MOKIZAN
19
この四半世紀で鹿が急増し、様々な懸念事象が発生している。とくに食害により、森林の世代交代は勿論、最早不毛地帯と化し、地盤崩落の危機に陥っている地域が増えているとのこと。同様のケースは、とうに無人島になった島で、住民が置き去りにした山羊が繁殖、やはり食害で草木が繁らず地肌が露出し、風雨の度に土砂が海岸伝いに流出している画像を見たことがある。林野庁あたりで、もみじ肉の普及国家プロジェクトを立ち上げ、意義ある鹿捕獲策を検討、着手しませんか。それとも浅草あたりで、鹿革なめす?にしても本書あとがきは秀逸と感じる。2016/06/27
いっしー
10
金華山や岩手県の山の現場でシカ研究にあたってきた著者による様々な角度からシカが増えた要因などを考察したもの。シカに馴染みがない地域の人向けにも分かりやすく丁寧に分析してある。増えた要因は様々あるが、何よりも人口が減少し里山の手入れが行き届かなくなり、さらに山に餌が少なくなり鳥獣が里に下りて来ざるを得なくなったことだろう。つまり、シカ、クマなどの鳥獣が本来住んでいる山と人間が住む環境との緩衝帯がなくなってきたことが大きいと感じる。過疎化、人口減少問題が影響しているがこれらはかなり根深い大きな課題である。2024/10/17
yamakujira
8
各地で問題視されているシカの食害と対策について考察する。高山植物が食われ、草原が裸地化して、斜面が崩落するなど、自然環境に与えるシカのインパクトは座視できないほどだと、あらためて驚愕した。オオカミの絶滅、積雪量の減少、狩猟圧の低減、山村の過疎化など、さまざまな要因が一気に噴出した感じだね。シカ柵の設置で凌ぐのも限界となった現在、当面は心を鬼にしてシカを駆除するしかないだろう。環境省が主導して、啓蒙活動と並行しながら都市住民の非難を怖れずに、思い切った駆除対策を施してほしい。 (★★★★☆)2015/12/29
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