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内容説明
マタギたちが経験した山での不思議な経験を、長きにわたって取材し、書き下ろした実話譚29編を収録。
2016年に単行本として刊行され、数多くの読者の支持を得た書籍の文庫化。
解説「マタギと末裔たちの不思議な山語り」(高桑信一)。
(内容)
第一章 歴史のはざまで
マタギが八甲田で見た人影はなんだったのか/菅江真澄と暗門の滝の謎/尾太鉱山跡で見つかった白骨/雪男を求めてヒマラヤに行ったマタギ
第二章 マタギ伝説
山の神様はオコゼと男根がお好き?/老犬神社由来/サゲフリ/神様になったマタギの常徳/兼吉穴/「鬼は内ー、鬼は内ー」
第三章 賢いクマ
演技して逃げたクマ/クマに騙されたマタギ/トメ足をしたクマ/スイカ泥棒/真剣白「歯」取り/復讐するクマ/クマを育てる/クマはいかに岩壁の穴に入ったか
第四章 山の神の祟り
四つグマの祟り/大然集落を襲った山津波は山の神の祟りか/忌み数/クマ隠し/セキド石
第五章 不思議な自然
大鳥池の巨大怪魚/マサカリ立て/山が教えてくれた
第六章 人間の不思議な話
濡れ衣/呼ばれる/老マタギと犬
あとがき
文庫のためのあとがき
解説 マタギと末裔たちの不思議な山語り 高桑信一
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
榊原 香織
72
マタギも保護しなきゃ。 本物はもう絶滅したかも。世界遺産になった白神山地は狩猟禁止区域になったし。 山を良く知り、調整していた人々だったのに。 マタギ怪談風の実話2021/11/05
mahiro
21
奇談と言っても怪奇話ではなく(少しあるが)古くから伝わる伝説やクマとの闘い、山の神への畏れや慣習…などマタギ達からの聞き語りを主に載せる。人間の力の及ばぬ自然の中で恵みを頂き命のやり取りをする人々が培ってきた忌み数などの禁忌は無意味な迷信などではないだろう、白神山地が世界遺産になり、マタギが自由に猟が出来なくなると荒廃するばかりだという古老の言葉は重い。ヤマケイ文庫って馴染みないと思ったが山と渓谷社だった。ここの旅行ガイドブックは使い勝手が良く好きだった。毎年出ていた地図で歩く京都、発行されなくなり残念。2023/02/06
奈良 楓
17
【良かった】山を敬い山に生きるマタギたちと、彼らが遭遇した不思議な話。 ・ 山の神様は存在すると思える本。目に見えないものを非現実なものと敬わないのは、良くないと実感。 ・ 熊との知略戦。 ・ 「八甲田山死の彷徨」に纏わる話。この小説好きだったのですが、新田次郎への見方が少し変わった。 ・ 白神山地世界遺産認定によるマタギの終焉。2020/12/06
LaVieHeart
14
マタギが語るアレコレ。クマが絡む話が多いが、クマに手玉に取られる話も多くて和む。特に「スイカ泥棒」に出てくるクマは、想像すると笑ってしまう位可愛らしい。 そして、マタギの言う「山の神」は本当に存在するのカモしれないと思う話も多い。山の神を信じるという事は、山の声を聞くことであり、山を知ることなのだと感じる。文庫版あとがきにある「人間は、マタギのように自然の一部でしかないことを肝に銘じないと、この先、たいせつな未来への道を失うのではないか」という言葉に大きく頷く。自然との向き合い方を見直す時はもう来ている。2025/04/04
CTC
12
7月のヤマケイ文庫新刊。単行本は16年同社。元々は登山の技術書執筆のために白神山地のマタギを取材していて、この本の構想が生まれたそうだ。そこから30年の歳月と郷土史家の協力あっての本、ということになる。白神山地は93年に世界遺産登録。縄文の頃からかの地で狩猟生活をしてきたマタギだが…なんと04年に同地は鳥獣保護区に指定されて、一切の猟ができなくなった。「マタギという文化が終焉を迎えた」という一文が結びとなる、単なる超自然の話だけではない凄い本だ。2020/09/02